レビュー : ますます敬愛してしまった財津さん
僕は元々コアなチューリップファンで、弟子入りするなら宇宙一敬愛する財津和夫さんと決めている。
どうしてあんなに優しく深みのある歌詞が書けるのか、どうしてあんなに綺麗なメロディを作れるのか、どうしてあんなに透明感のある声が出るのか、全てが僕にとっての憧憬の的だ。
だから、会社を辞めた後は、何とか大阪芸術大学に入って財津教授の下で曲作りを口伝頂く・・・これが僕のささやかな夢。
元々漠然とそう思っていたが、はっきり自覚したのは数日前にアマゾンで買ったCD「ふたりが眺めた窓の向こう」(ビクター)を聞いたこと、そして昨晩NHK BS2でやった財津和夫コンサートを一時間半堪能したことによる。
「ふたりが・・・」のCDは、チューリップの最終アルバム「run」のDisk2で見せた財津ワールドを承継し、更に世界観の奥行きと幅を拡げた感がある。
なんというか、「大人の世界」では足りない。「酸いも甘いも噛み分けた」でも足りない。人生の最晩年に来し方を走馬燈のように思い出しながら、自分のすべての経験を優しく抱擁するようなそういう世界。「run」の中に「すべては忘れた」という曲があるが、まさにそれ。人間の世界の美しさも醜さも、喜びも哀しみも、君の名前も自分の名前も、戦争のばかばかしさも・・・全てが渾然一体となったものをただ穏やかに眺めているイメージ。
僕も死ぬときにはそういう境地で死にたい。だから財津さんに師事したいのだ。
そういう世界が分かる方には聴いて頂きたい。しかもアマゾンで買うと500円ほどお得。
財津さん、素敵な恋してますか?
いずれの曲も穏やかな作風で、安心して心地よく聴くことができます。
アレンジはシンプルで楽器が控え目なので、年を重ねて深みを増した声が際立ちます。
還暦を過ぎてなお、現在進行形の恋を感じさせるようなほのかな色気が財津氏の真骨頂。
ソロアルバムならではのシンプルさと、ほんのり香る大人の色気に酔いたい方にお薦めの一枚です。
高校1年の時だったと思う。大ヒット曲『心の旅』を引っ提げて市民会館にやって来た「チューリップ」のコンサートへ行った。会場からは「姫野さ〜ん!」「財津さ〜ん!」と黄色い喚声が飛び、『心の旅』では男たちの歌声がステージからのヴォーカルと混ざりあった。とにかく1970年代におけるチューリップのメガヒッターぶりは凄かった。
あれから35年。音楽活動38年、昨年60歳の誕生日を迎えた財津和夫、8年ぶりのオリジナル・ソロ・アルバムは、長年のキャリアを背景にした人々との「つながり」をテーマに、自らの新曲だけでなく、同じ時代を駆け抜けてきた小田和正や同郷・福岡出身のASKA、ヴォーカリスト伊豆田洋之、元プリプリの作詞家・富田京子、キロロの金城綾乃、平原綾香といった、さまざまなアーティストからの楽曲提供と共作を含んでのリリースだ。
全13曲。全編ラヴソング。どれも至近距離のLOVEを歌っている。歌詞が「詩」のようであり、私小説のような作品だ。大人の余裕を感じさせ、セクシーな部分も含め、歳を重ねることをよしとするアルバムとして、これ以上ない仕上がり。「アラ還」でなくては伝えられない言葉と声と感情が、ヴォーカルと同時録音のギターを中心としたアコースティック・サウンドを伴って、10代の頃から脈打つ心の大切な部分にじんわりと沁みてくる。肩の力が抜けて、財津和夫自身が一番リラックスしているのがいい。デジタル・オーディオ・プレイヤーではなく、CDの音源をスピーカーから聴いてほしい、どこかアナログ感をまとった秀作だ。
裏ジャケットの写真は『ジョンの魂』へのオマージュと見た。
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